山中瑤子監督への “5 Quick Questions"

21.04.02

今回の5QQのコーナーのゲストは、海外のVODで「あみこ」の配信が決定した、新進気鋭の女性映画監督、山中瑤子さんです。

1: 今回、Sooner(https://sooner.de/) 様にて、監督の作品である『あみこ』が配信されることになりましたが、感想を教えてください。

ハッピーです!この映画は、わたしが19歳のときに誰に見せるでもなく初めて作った至極プライベートな映画でした。その後、たくさんの国の映画祭で上映していただける機会があり光栄でしたが、あまりにインディペンデントな作品なので恥ずかしい気持ちも持ち続けていました。今では考えも変わり、もっともっと気軽に見て欲しいと思っています。映画は映画館で見るのが一番だとは思いますが、それでも見れないよりは見れることの方が絶対に良いですから。いつか異国の映画館でも公開される映画を作れるように頑張っていきたいです。

2: 同作品ついての、海外ファンに向けたアピールポイントを教えてください。

モントリオールでこの映画を上映した時に、あるおじいさんに言われた感想が印象に残っています。
「日本の女性は、男性の後ろに控えていてあまり主体的に行動するイメージがないですが、最近は変わったの?」主人公あみこのエネルギッシュな一挙一動に、喜んでくださいました。まだまだ日本の女性の地位は低いですが、それでもわたしを含め、気づき始め、必死に学ぼうとしている若者が多いと思います。

3: 監督の映画制作に関するお考えや、ポリシーをお聞かせください。

当初は、映画は監督のものだと思い込んでいました。(どんなに些細なことでも何から何までこだわると言われる小津の影響があると思います。)
今や当たり前に理解できますが、映画をひとりで作るには表現が限られます。一緒に映画を作る人々に対し暴君にはならず、自分のまなざしを言葉を尽くして伝えるということ。社会が嫌でこの世界に向かったはずが、映画づくりもまた一つの社会なのでした。兎にも角にもコミュニケーションを怠らないこと。

4: 影響を受けた監督、作品についてお聞かせください。

映画監督という存在を認識させてくれたのは、高校生のときに観たアレハンドロ・ホドロフスキー監督の『ホーリー・マウンテン』でした。
第七芸術という言葉も知らなかったそれまでのわたしにとって、映画というのはスター(役者)を輝かせるために作られた商業的な娯楽としか思っていませんでした。さまざまな映画監督がそれぞれ持っている、固有の作家性に夢中になるきっかけとなった作品です。あきらかに人生が変わりました。

5: 日本語でつかえる海外進出支援のためのプラットフォームであるフィルミネーションに、今後期待することを教えてください。

海外の人に映画を見てもらおうとも、どうしたらいいか分からない監督は多いと思います。特にわたしのようにプロデューサーのいない監督は、自らこういったプラットフォームを見つけるのがとても不得手です。今回のように声をかけてもらえてとても助かりました。しかし世の中には、作品と作家を大切にしない怪しい人たちもいるので、はじめは信用できるのか分からなかったです。フィルミネーションの名をより多くの人に知ってもらえるといいのではないかと思います。

■作品情報

あみこ | AMIKO

物語
「山登りたくない?」女子高生あみこは、違うクラスのサッカー部アオミくんと電撃的邂逅を果たし、魂の会話を交わした二人は愛だの恋だのつまらない概念を超越した完全運命共同体となる。はずだったが、それ以来アオミくんと会話どころか視線を合わせることもなく、ただ月日だけが流れる。魂の会話から一年が経った頃、アオミくんが家出をしたという噂が教室を駆け抜けた…。

監督:山中瑶子(ヤマナカヨウコ)https://ec.filmination.jp/movies/detail/8dcf75af-bd62-4a3f-b35e-f3aa87864901

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