日本・韓国 映画輸出額比較 / 掛尾 良夫氏
21.01.20
BTSをはじめとするK―POP、古くは「冬のソナタ」から昨年の「愛の不時着」までの韓国ドラマなど、韓国のコンテンツの国際展開は目覚ましいものがあるが、では、映画はどうだろうか。
ちょうど昨年の今頃、2020年の1月13日にアカデミー賞のノミネーションが発表され、ポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」が6部門でノミネートを受け、2月10日の発表では、作品賞をはじめ、脚本賞、国際長編映画賞、監督賞の4部門受賞の快挙を遂げた。
映画もK―POP、ドラマと同様に活発かと思いきや、実は地味な金額である。日本と比較すると日本の圧勝である。映画の面白さは、私個人の見解では韓国の方が圧倒的に優位にあると思うのだが、輸出は振るわない。
劇映画の輸出に関しては、韓国に限らず、フランス、英国、イタリア、中国、日本もそう大きな輸出額にならない。
「新感染 ファイナル・エクスプレス」が韓国で大ヒットしても、アクション映画なら、世界の普通の映画観客はマーベル・シネマを選ぶからだ。一方、日本はディズニー、ピクサーとも棲み分けできるアニメーションがあることが大きい。
また、中国、韓国の映画産業が大作化に進み、製作本数が減少する一方、日本映画は低予算映画による多作化、多様化に進んでいる。この流れは、劣悪な製作環境という弊害が問題だが、中国、韓国に比べれば、若手監督のデビューが容易になった。韓国からの映画を学びにきた留学生たちは、国に戻っても監督デビューは簡単ではなく、日本の状況を羨む声も聞く。
この日本の劇映画の環境を良くするためにも、日本映画の海外進出を進めなければならない。若い人材には積極的に海外に向かって欲しいと思う。
エグゼクティブ アドバイザー 掛尾 良夫
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