日本映画産業の興行収入と輸出額 / 掛尾 良夫氏

毎年、1月末に開催される映連(日本映画製作者連盟)の新年記者発表が、今年は1月27日にホームページのみの公開という案内が届いた。

昨年の12月15日、東宝は記者会見で2020年の年間興行収入を1350億円前後になるのではないかという予想を発表した。2019年の過去最高記録、2611億8000万円の50%弱という激減である。

2020年の映画産業は、日本のみならず、世界の市場が新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けた。1月末頃には、海外でも映画市場の情報が発表になると思うので注目したい。

ところで私は、日本映画の海外展開についての調査を行っているので、その点について2019年以前を振り返ってみたい。

映連は毎年、映連加盟社(松竹、東宝、東映、角川)とそのグループ会社の輸出実績を発表している。2019年は3億2778万7000ドル(1弗=108¥で換算すると354億0099万円)で前年対比115%増。この数字は4社とそのグループだけの合計。4社以外に輸出額を加えれば、さらに大きな額になるだろう。一方、2019年の日本映画全体の興収は1421億9200万円(ここに輸出は含まれていない)。日本映画の興収約1422億円に対し輸出額の354億円(4社だけ)は、予想以上に大きいように思える。しかし、国内の興収は映画館だけからのもので、一方、輸出はオールライツ(全ての権利)からの金額であることを忘れてはならない。

それにしても輸出の増加速度は目覚ましく、ちなみに2010年の輸出額は6558万7000ドル(70億8339万円)、10年間で輸出は5倍以上に急伸した。

フィルミネーションという、日本映画を海外の配信会社に紹介するプラットフォームがある。このフィルミネーションを通じて、海外の配信会社が日本映画を世界に発信している。日本映画は、よく半径5メートルと揶揄されるが、コロナ禍で閉塞感に包まれる現代では、世界に通用する普遍性があるのではないか。日本映画の海外進出はさらに大きな可能性があるはずだ。

フィルミネーションによるVOD販売実績(一部) *順不同

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エグゼクティブ アドバイザー 掛尾 良夫
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